畳の和室にベッドを置きたい、とお考えではないでしょうか?
とはいえ、
・畳の上にベッドのような重いものを長期間置いたら、畳がへこんで戻らなくなってしまうのでは?
・賃貸なので、退去時のことも考えると、畳に分かりやすいダメージ跡を残してしまうわけにはいかない
といったような不安をお持ちなのではないかと思います。
今回は、そんな方のために、畳(和室)でベッドを使うときの注意点等について見ていきたいと思います。
目次
和室にベッドを置くのはアリ?
ベッドなんてものが日本に入ってくるずっと前、それこそはるか昔から、畳は使われています。
そもそも畳は湿度が高い日本の気候にとても適した性質を備えており、直接その上で過ごすことを前提に生み出されたものですので、和室で寝るとなれば、畳に直接布団を敷いて寝るのが一番しっくりくるスタイルだと言えます。
しかし、そうは言っても、ずっと敷きっぱなしでいいということではありません。
人の身体は、一晩の睡眠時にコップ1杯分の水分を布団に放出しています。
そんな布団が畳の上にずっと敷いてあれば、そこはカビの温床として最適の状態となり、遠からずカビが生えてしまうでしょう。
その直接の原因は、「畳と布団の間に通気がないため」であり、そういう意味では、畳の部屋であってもベッドを使うのはある意味合理的なのです。
畳にベッドを置く際に注意したいこと
畳への荷重によるへこみを防ぐには
畳は植物由来の素材でできており、ある程度の弾力はあるものの柔らかいため、一点に集中して長期に重さがかかると、へこんで跡が残ってしまいます。
多少のへこみくらいであれば、物を置かない時期がそれなりに続けば、言われないと分からないくらいには戻ります。
しかし、何年も置くとなると、はっきり跡がついて、戻らなくなってしまいます。
それをある程度防ぐための方法としては、タイルカーペットを1枚買ってきて(数百円で買えます)、それを10cm角くらいに切ったものを4枚用意します。
カーペット面を下に向けた状態で、ベッドの脚の下に敷きます。
タイルカーペットは、裏地が割と硬いゴムでできており、その硬さで畳への直接的な荷重を分散してくれます。
カーペット面を下にするのは、裏地のゴムが、物によっては長期の圧迫で畳に癒着してしまうことがあるので、それを防ぐためです。
配置場所はしっかり考えて決める
ベッドの配置位置をしっかり決めなくてはならないのは、何も畳の部屋にベッドを置く場合に限ったことではありません。
しかし、畳の上で安易にベッドの位置を何度もずらしたりすると、畳の表面が削れて、ささくれ立ってしまいます。
こうなってしまうともうフォローのしようがないので、最初に置く位置をちゃんと決めて、後になって動かすことが極力ないようにする必要があります。
また、それでも動かす必要が生じた場合は、引きずったりせず、なるべく大人2人でちゃんと持ち上げて移動させるようにしましょう。
最初の位置決めはしっかり行って、やむを得ず動かす場合は、多少の手間は惜しまずに畳にへこむ以上のダメージを与えないようにすることが重要です。
ほこりや湿気が溜まらないように注意する
配置位置とも関係しますが、ベッドはなるべく通気のいい場所を選んで置くようにしたいものです。
風通しが悪い場所は、ほこりや湿気がたまりやすく、それらが合わさると、簡単にカビの温床となってしまいます。
畳にカビが生えたりしたら、これはもうきれいに取り除くことは不可能です。畳に対してカビ菌を殺すような強い洗剤を使ったりすれば、畳のイグサがダメになってしまいます。
ほこりが溜まらないように掃除することも大事ですが、それ以上に、湿気には注意が必要です。
また、畳の部屋では、ベッドを壁にぴったりつけて置くことはおすすめしません。
壁につけて置いたベッドの下に荷物を置いたりすれば、ほこりと湿気が非常に溜まりやすい場所になってしまいます。
せめて、軽く掃除できるくらいの隙間は開けましょう。そうすることで多少の通気も確保でき、湿気も溜まりにくくなります。
畳へのダメージはそれほど気にしなくてもいい?
畳へのダメージを気にする理由の第一は、「賃貸の部屋の畳を必要以上に傷つけると、退去時に修繕費用に加算されてしまうのでは」ということだと思います。
しかし、畳はそもそもが消耗品的な側面があり、引っ越したら畳が前の住人が使ったそのままだった、ということは、あまりありません。
ベッドによるへこみ以前に、人が居室の床として使えば必ず擦り切れますし、日光が当たれば、新しい時の緑がかった色は消えてしまいます。
ちゃんとしたところであれば、ほとんどの場合は畳は退去時に交換すると思われますので、そういう心配のために畳へのダメージを気にする必要はないと言えます。
気になる場合は、管理会社に確認を取るといいでしょう。
畳の部屋に合うベッド
ローベッド
ベッド高が低く、脚があるのでベッド下の通気も確保できるローベッドは、畳の部屋に置くのにぴったりのベッドです。
低いベッドのほうが和室の雰囲気によく合いますし、また、畳に直接布団を敷いて寝るよりも寝起きが楽になった、という声も聞かれます。
とはいえ、ベッドフレームの色が真っ白や真っ黒では和室の雰囲気と合いませんので、木目のフレームがおすすめです。
畳に接する脚先の対策が必要であることと、その低さゆえに掃除がややしにくいのが難点ですが、それはどのベッドでも大差ありません。
すのこベッド
特定の場所に湿気が溜まることを避けたい和室としては、通気がよく考えられているすのこベッドは、畳との相性がいいと言えるベッドのひとつです。
天然木のイメージを前面に出した製品が多いので、デザイン的にも和室自体との相性もかなりいいです。
ただし、寝具から発生する上からのほこりがベッド下に落ちやすいので、こまめなお手入れを心掛けたいものです。
畳ベッド
もともと畳敷きの和室に畳ベッドを置くことで、ほこりの舞う範囲より上で寝られる、収納スペースを確保できる、といったベッドを置くメリットを享受しつつ、和室のイメージを色濃く残せます。
ベッドの寝台面が畳である上、フレーム自体も和風なデザインであることが多いので、ちゃんとした和室に置くと、小上がりのように使うことも可能となります。
畳ベッドは収納タイプであることが多いので、敷いた布団をその中に収納することもでき、機能的です。
リフトアップタイプの収納ベッド
収納ベッドにはリフトアップタイプと引き出しタイプがありますが、リフトアップタイプのものは、畳の部屋とは割と相性がいいです。
和室には、家具をあまり多く置くことはしないものです。
そのため、ちょっとした小物などを仕舞っておく収納場所が足りなくなることがあります。
和室には押し入れがあることが多いのですが、押し入れは上段と下段に分かれているため、長さのある物は収納できませんし、奥の方に入れてしまったものは簡単には取り出せません。
そんな場合に、ベッド下の収納は意外に使えます。
深さはあっても40cmほどなので、何があるかは見ればだいたいわかりますし、あまり重いものは入れないと思うので、取り出すことも容易です。
収納ベッドには引き出しタイプもありますが、これは、「向いていない」方に入っています。
その理由は後述します。
畳の部屋に合わないベッド
フロアベッド
フロアベッドは。背の低いフレームが床に接するようになっており、そのデザインそのものがフロアリングを前提としています。
木目調のものであれば様にならなくはないですが、畳には凹凸があるのでぴったり置くことはできませんし、畳の部屋にわざわざこのタイプを選ぶ理由はあまりないでしょう。
また、収納ができるわけでもないのに通気性が悪いので、畳との相性はかなり悪いと言えます。
ロフトベッド
ロフトベッドは、二段ベッドほどの高さのベッドで寝て、その下の空間が自由に使えるのが特徴ですが、和室では使いにくいベッドのひとつです。
まず、上背があることにより、ロフトベッドは意外なほど重いです。ベッド下空間をクローゼットのようにするために服などを掛ければなおさらで、その重量は、畳に一点荷重としてかけるにはちょっと大きいものです。
また、ベッド下の空間を自由に使うにしても、だいたいの場合はソファーを置くことが多いのですが、畳にソファーはかなり難しい取り合わせとなります。
ソファーの足先というのは先端が細く尖ったようになっていることが多いのですが、そういうソファーを畳に置くと、その足元の畳が、重量と摩擦で目立ってささくれてしまい、ひどいことになってしまいます。
ダメージ防止に厚手のラグを敷くという手もありますが、「畳は呼吸する」ともいわれており、畳をラグで覆ってしまうというのは、あまりいい方法とは言えません。
二段ベッド
二段ベッドは、重厚なフレームのベッドがまる2つ重なっており、また、寝る人数も2人なので、とにかく重いです。
ただ、畳の部屋に二段ベッドを「置かなければならない」状況は意外にあり、避けられない可能性は大いにあります。
二段ベッドの性質上、部屋の中でも置ける場所は限られており、一度置くと、その配置が変わることがほとんどないのも二段ベッドの特徴です。
そんなわけで、畳の部屋に置いたが最後、畳が重さでへこむのは確実なので相性はよくありませんが、これはもう仕方ありません。
先程紹介したように、タイルカーペットを切ったものを裏返して脚下に敷けば、畳へのダメージも多少は軽減されると思います。
引き出しタイプの収納ベッド
畳の部屋では収納ベッドの有用性が高いのですが、引き出しタイプの収納ベッドはおすすめしません。
これは、収納ベッドの引き出しのほとんどが、引き出しを開けた場合にその先端が床に当たるためです。
製品によっては、引き出し先端に床へのダメージ防止のための車輪がついているものもありますが、一回や二回ならともかく、日常生活の中で開け閉めを繰り返せば、畳には必ず筋状の傷がつきます。
こういう、畳の繊維が切断されてできる傷はどんどん広がりますので、初めからつけないに越したことはありません。
そういった理由で、引き出しタイプの収納ベッドは、畳の部屋には適していないのです。
まとめ
賃貸などでは、和室は減少する傾向にありますが、それでもまだまだポピュラーなものですし、そういった部屋にベッドを置くことは当然あると思います。
畳にダメージを与えないほうがいいのは間違いありませんが、重量によるへこみについては、軽減する方法もありますし、それほど神経質になることもありません。
しかし、畳に摩擦、切り傷系のダメージは与えないように気を付ける必要があります。
こういった傷は広がりますし、裂断した繊維は棘となって刺さることもありますので、注意が必要です。
また、ある程度こまめに掃除したり、通気に気を使うことで、カビの発生を抑えることも重要です。
そういったことのためにも、和室に適したベッドを選びたいものです。